第47回秋田県多喜二祭


第47回秋田県多喜二祭(2012年2月18日)

記念講演は島村輝氏

『蟹工船』は、「フクシマ」を見通していたか

 第47回秋田県多喜二祭は多喜二祭がスタート (1962)して50周年。それにふさわしい多喜二祭 賞の発表、創立五〇年を迎えた秋V合唱団の演奏、わら び座俳優による作品朗読など素敵なプログラムであった。  この年は日本列島の記録的な豪雪の中での多喜二祭と なった。講師・島村輝さんは富山大学での集中講義を終 え、寝台「日本海」で秋田に向かう予定であったが、北 陸を襲った26年ぶりの豪雪で羽越線が不通となり、東 京に引き返す手段も奪われ、積雪84センチの富山で一 時立ち往生となった。が、雪をかきわけ、いったん東京 に引き返し、早朝自宅から、なんとか秋田に到着された。 多喜二の『東倶知安行』よろしく、無事秋田県多喜二祭 に到着した島村輝さんを、160人の満員の参加者は大 きな拍手で迎えた。  島村さんは「いま、改めて『蟹工船』と世界を考える」 と題して講演した。東日本大震災の福島第一原発事故で 明らかになった原発労働者の実態や、世界に広がる金融・ 財政危機と格差問題について触れながら、「多喜二の代 表作『蟹工船』が描いた世界は、今起きている現象を 見通していたかのようにも読み取れる」と指摘。「原発 問題などが自分の身に降りかかったらどうなるのか、常 に当事者の意識を持ってほしい」と呼びかけた。このあ と島村さんは小樽に飛び、多喜二の母校・小樽商科大学 100周年を記念する国際シンポジウム(21日〜23 日)の大役を務められ、国際シンポジウムは大きな成功 をおさめた。  県多喜二祭賞は2個人1団体に贈られた。女性の人権 問題に貢献された金野和子弁護士、土崎空襲を伝える高 橋茂さん、そして「種蒔く人」顕彰会であった。さらに 多喜二の母が多喜二について語った『母の語る小林多喜 二』の朗読。資料展示や秋V合唱団のコンサートなども おこなわれた。

秋田県多喜二祭50周年記念・「小林多喜二展」への熱 き反応

 秋田県多喜二祭50周年を記念して、3月16日〜 19日秋田市アトリオン展示場にて「小林多喜二展」が 開催された。秋田での「展」の開催は2004年2月、 多喜二生誕百年記念に続くものであった。国内最大級と いわれた前回規模(260点)を上回る新資料で大きな 反響を広げた。多喜二愛用のオーバーや文机、「多喜二『蟹 工船』ノート稿」さらに10年間の多喜二研究の進展や 諸外国の翻訳本紹介、映画「時代(とき)を撃て・多喜 二」「母べえ」などの視聴覚・映像コーナーなど充実し た内容であった。一方、小樽文学館所蔵の「デスマスク」 が日本近代文学館所蔵の「2着のオーバー」と出合うと いうかつてない多喜二展であった。中村恵子(松田解子 の会)さんから「50年を数える秋田での多喜二祭の歴 史とともに、多喜二展がいかに充実した内容であったか 記録集から伝わってきます」との感想が寄せられた。


inserted by FC2 system inserted by FC2 system