第41回秋田県多喜二祭


第41回秋田県多喜二祭(2006年2月18日)

記念講演は島村輝氏

中国河北大学での成果をふまえて

第41回秋田県多喜二祭は2月18日(土)秋田市千 秋会館に151人を超える多数の県民が集い、大きな成 功を収めた。会場は机を撤去し、椅子だけのフロアとし たが、結果的に好印象を生んだ。書籍・色紙コーナーも よかった。中国での「国際シンポジウム」論考集は佐藤 三郎氏の宣伝や、島村さんのサインセール効果もあって 完売した。
 島村輝氏の記念講演「『いま 最もホットな小説家』 としての小林多喜二」は鋭角的な切り込みと平易な語り 囗で説得力あふれるものであった。島村輝氏は白樺文学 館多喜ニライブラリーが主催した国際シンポジウム、中 国河北大学が主催した昨年一一月のシンポジウムの成果 にふれ、『犠牲』と「人権」をめぐって、新たな問題提 起を行った。参加者からは「引き込まれた」「かつてな くすばらしい水準だった」などの声が寄せられた。

「党生活者」の「笠原」問題と「語りの構造」の指摘

島村さんの講演は、戦後平野謙らによって展開された いわゆる「ハウスキーパー」問題−小説『党生活者』の「笠 原」問題に示された女性と人権問題に正面から切り込む ものであった。島村さんは宮本阿伎氏の先行研究を押さ えつつ、戦後平野謙らによる「党生活者」の「笠原」問 題に示されたハウスキーパー問題に明快な反論を示した。  また「党生活者」の作品を詳細に分析。女性の人権へ の配慮に欠ける個人生活がまったくない「私」の述懐部 分と、「笠原」の描写には大きなギャップがあり、この 作品が前編だけで書かれなかった後編には主人公の「私」 が批判されるどんでん返しの仕掛けともいうべき「語り の構造」になっていると指摘し、注目された

多喜二祭賞は『秋田の被爆者』を編んだ佐藤力美氏(秋 田県被団協事務局長)

秋田県多喜二祭賞は、秋田の被爆者の心を刻んだ記録 『秋田の被爆者』の編集責任者として奮闘された佐藤力 美氏(秋田県被団協事務局長)が受賞された。被爆者自 らが被爆体験を語るまでに至った長い歳月。被爆者たち を励まし、その硬いこころをほぐした佐藤氏らの懸命の 努力は記録集『秋田の被爆者』に結実している。佐藤氏 の受賞は、秋田県多喜二祭の歴史に新たなページを加え るものとなった。『秋田の被爆者』は当日の参加者全員 にプレゼントされ、波紋を広げた。
 秋田合唱団の春を呼ぶ歌声、劇団スカンポ・中川祐子 さんによる多喜二の「飴玉闘争」の作品朗読は新鮮だっ た。多喜二祭を終えて島村氏からは「秋田で多喜二がこ れほど大切にされているということを知り、僕にとって は貴重な体験でした。永く思い出に残りそうです」のメッ セージが寄せられたが、40年以上続く秋田発信の文化 運動として貴重な教訓を残した。


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