第39回秋田県多喜二祭


第39回秋田県多喜二祭(2004年2月18日)

記念講演は浜林正夫氏

「生誕100年記念小林多喜二展」に4日間で2800人の 入場者

我が国最大規模の「生誕百年記念小林多喜二展」(2 月18日〜21日)がアトリオン美術展示室ホールにて 開催され、4日間で2800人もの入場者が詰めかけた。 今回の多喜二展は、小樽文学館、小樽商科大学、新日本 出版社、白樺文学館多喜ニライブラリー、日本共産党資 料室など八団体八個人が所蔵する、大舘、小樽、東京な どゆかり地から集められた。小樽文学館、小樽商科大学、 白樺文学館多喜ニライブラリー、新日本出版社などから、 デスマスク(ブロンズ)、母セキ遺筆、恋人田ロタキに 宛てた最後のはがき、「一九二八年三月一五日」ノート稿、 小樽高商時代の成績表、恩師・大熊信行あて未発表書簡 など多彩な資料群が提供された。29歳で非業の死を遂 げるまでの全生涯と業績をたどる写真、書簡、草稿など 120点もの資料がいっしょに展示される全国で初めて の企画であった。
 多喜二展への感想も「生誕100年にふさわしい堂々たる 充実した多喜二展、出身地の本県として恥ずかしくない 豊富な資料の展示に敬意を表します」「多喜二展は歴史 の宝庫そのものであるという印象を受けました。多喜二 さんが生きていた時代のこと、多喜二さんのこと、いっ ぱい知ることが出来ました≒多喜二はすごい人だと思っ た。死ぬまで戦争反対を訴えて、今の平和は、小林多喜 二のおかげだと思った」こうした豊かな感想は編集委員 会によって編まれた『生誕100年記念小林多喜二展』にま とめられ、そのことも大きな話題となった。

浜林正夫さんの記念講演〜多喜二の社会問題の目覚めの プロセスを解明

第39回秋田県多喜二祭は多喜二展の初日に開催され、 浜林正夫さんの記念講演には160人もの参加者で会場 は熱気に包まれた。
 浜林さんは、多喜二の社会問題の目覚めのプロセスを、 「時代」「小樽」「多喜二の成長過程」の角度から、わか りやすく解明。「ほんの2、3年の間に「蟹工船」「不在 地主」「工場細胞」など多喜二作品の頂点ともいうべき ものが書かれているが、そこに驚くべき迫力、筆の力、 まるで何かが乗り移ったかのように進んだ背後に何かあ るか」『小林多喜二とその時代〜極める眼』の著書をさ らに深める内容で、重厚でソフトな語り口に大きな反響 があった。

詩人たちによる詩の朗読

榎徳太郎さんによる詩人・中川利三郎の「バシー海峡」 が朗読された。その他2人の詩人(平塚愛子「八月の空」・ 佐藤信康「日本的いじめ・世界的いじめ」)による詩の 朗読があった。嶋田宗雄氏から多喜二祭実行委員会が企 画した「多喜二ゆかりの地探訪・小樽ツアー」の報告が あった。

多喜二への高校生の高い関心

前年、県立秋田高校で開催された研究授業「テーマー 秋田の文学と風土〜近代以降の作家たち」は、秋田の 12名の作家について、情報を収集し活用して報告や発 表を行う内容の授業であり、注目された。事前に同校の 全校生徒を対象に実施された秋田出身か秋田にゆかりの ある作家(小説家・歌人・俳人・詩人)がリストアップ され、生徒たちの中で小林多喜二の知名度が抜群である ことが紹介された。秋田の高校生の中に多喜二がきちん と受容される上で、継続している「秋田県多喜二祭」の 営みが、貴重な役割を果たしていることの証左と言えた。


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