第38回秋田県多喜二祭


第38回秋田県多喜二祭(2003年2月22日)

記念講演は田島一氏

作家を続けてこられたのは多喜二の存在

多喜二生誕100年・没後70年の年。小樽市の小樽文 学館では多喜二の拓殖銀行時代の辞令が公開されるなど、 全国的な注視の中で開催された。第38回秋田県多喜二 祭は「湾の篝火」の作品で知られる作家・田島一さんが〃 「多喜二から学んだもの」と題して記念講演を行った。  田島さんは「二月になると、毎年、多喜二と向き合っ てきた。作家を続けてこられたのは多喜二の存在があっ たから」と語り、「工場細胞」「党生活者」などの作品に 触れながら、「戦前の暗黒時代を人々がいかに生きたか は、多喜二の作品を読まなければ、その真実はわからな い」と語った。
 「苦しくなった時は多喜二の作品を読んだ」と振り返 り、「多喜二はリアルタイムで時代を描き、それまで誰 も描かなかった日本文学史上初めて共産主義的人間像を 描いた。そして、ただそれに満足することなく、小説家 に必要な冷静さと客観的な目を持っていたから成長でき た」と作家の目で深められた。さらに「日本文学の優れ た点を吸収しながら世界文学を視野に入れ、新しいもの を生み出した」と称え、「『深い流れをとらえて書け』と いう多喜二の声が聞こえる。現実を真摯に受け止め、積 極的な挑戦をしていきたい」と結んだ。
 参加者からは、「多喜二が語りかけてくるような講演 だった」「小説を書き始めたころの体験など興味深く聞 きました」「多喜二のみずみずしい感性、激しく強い意 志を、作品の中でまた読みたい」などの感想が寄せられ た。秋田合唱団の演奏、作品朗読、詩の朗読など、会場 いっぱいの150人の参加者は深い感動に包まれた。

多喜二生誕100年・没後70年にふさわしい授賞者

講演に先立ち、秋田県多喜二祭賞の授与式が行われ、協和 町出身の作家・松田解子さんと長年交流し、昨年往復書 簡「松田解子とわたし」を刊行した佐藤征子さんと「読 本・秋田と小林多喜二」刊行会事務局長を務め、多喜二 祭実行委員長や日本民主主義文学同盟秋田支部長を務め る佐藤好徳さんが受賞した。多喜二生誕100年・没後70年 にふさわしい授賞者であった。
 多喜二生誕100年の年は、実行委員会による「小樽ツ アー」「大館ツアー」が計画実行された年として記録さ れる。小樽ツアーは2002年6月28日〜7月1日に かけて行われ、大館ツアーは第2弾として2003年1 月18日に行われた。2、3日前の荒天やその後の悪天 候を考えると、まさに「天のめぐみ」で、空は大館に近 づくにつれ青くなった。「下川沿の生誕の地碑」「釈迦内 の多喜二の母セキ生誕の地碑」さらに雪に埋もれた「小 林多喜二文学碑」など、大館の多喜二祭実行委員会メン バーの歓迎を受けながら、有意義なツアーを終えたの だった。


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