第33回秋田県多喜二祭


第33回秋田県多喜二祭(1998年2月21日)

記念講演は全集編集の大田氏

小林多喜二の没後65周年を記念 する集い・第33回秋田県多喜二祭 は、2月21日午後、秋田市の県 生涯学習センターで開かれ、117 人が参加しました。
 集いでは、多喜二全集の編集者、 新日本出版社編集長の大田努氏が 「小林多喜二の全著作は、どのよう にして復元されたか」を記念講演、 日本共産党秋田県委員会文化部長、 おぎわら和子さんの挨拶、多喜二の 作品の朗読、合唱、資料展示などが おこなわれました。
 主催者を代表して、実行委員会代 表委員の佐藤好徳さんが、「今日参 加されたみなさんと一緒に、小林多 喜二とその作品との出会いを思いか えしながら、没後65周年に多喜二 の生涯と業績、文学について考えた い。多喜二の思いをしっかりと受け 継いで21世紀にむかって確乎とし て前進しよう」と開会あいさつ。
 日本共産党秋田県委員会のおぎわ ら和子文化部長は、「人間は優れた 小説から学ぶことが大事」と小林多 喜二とその作品との出会いについて 語り、多喜二が殺された時に作家の 志賀直哉が日記に「ふと、彼等の意 図ものなるべし」と書いたことを紹 介、「小林多喜二の文学と不屈の生 涯は、今もなお私たちに大きな励ま しをあたえている」と来賓挨拶。

記念講演

大田努氏は、記念講演の中で「多 喜二の著作の復元は、多喜二の死後 すぐ始められた」と戦前2回、戦後 3回刊行された全集の編集・出版に ついて、「『中央公論』に掲載され た『党生活者』の完全なゲラ刷りは 四部作られそのうちの一部が残った」 「『一九二八年三月十五日』の原稿 は、評論家の勝本清一郎氏が空襲と 特高警察の弾圧から守るために、も との第一銀行の地下室の貸金庫にあ ずけて保存された」「戦後の日本評 論社版の全集はレッドページのため 中断し出版社が変更になった」「 『地区の人々』の改造社版の××に なっている伏字に書き込んだ本が残 された。17年後、原稿が発見され その書き込みが正確だったことがわ かった」などの秘話やエピソードを 交えながら、話しました。
 大田氏は、「多喜二の非合法時代 の活動は、一般には知られていない。 晩年のエアポケットになっている。 そのために、多喜二の作品『党生活 者』は実感がない(金子洋文)とか 笠原問題について代表される否定論、 多喜二は共産党の犠牲者だ、など当 時の国家権力によってゆがめられた 多喜二像がつくられた。全集の刊行 はその多喜二像の回復にあった」と 多喜二の全著作の復元、全集刊行の 歴史と今日的意義について語りまし た。
 氏は、評伝「小林多喜二」の著者、 手塚英孝氏の業績にふれ評伝の中の 最終章「回想」の1節「どのような 困難にもひるまず、真実にたいする ひたむきな献身的な努力で、深く、 ゆたかに成長していくすばらしい人 間の姿を、私はありありと、眼前に 見るように思うのであった。」を紹 介、「多喜二の生涯と業績は、21 世紀に向けてさらに光り輝く」と、 小林多喜二の作家としてたえず成長 発展する姿を、話しました。

作品朗読、合唱など

詩人の吉田朗(実行委員会代表委 員)さんが、多喜二が1920年に 『文章世界』に投稿、選外佳作になっ た詩て選者の西条八十が「作者がや がて外景と心像を巧みに織り交ぜる 手法を会得するとき、北国の自然は 遥かに短い語句の中に、ヴィヴィ″ 卜に表現されるだろう」と選評した ことを紹介、詩「北海道の冬」を朗 読。また、木村覚(秋田演劇観賞会・ 会長)さんが小説「党生活者」の主 人公が母と会う場面の1節を朗読し ました。
 また、秋田合唱団が「爰に生き、 平和に生きる」「津軽平野」など四 曲を演奏し、参加者を楽しませてく れました。
 展示された著書、資料、色紙など にも関心が集まり、資料をみながら、 没後65年を語り合う人々の姿がみ られました。

参加者の感想から

●多喜二が殺されたあとも、多喜二 とその作品を蚰に展開された数々の 壮大なドラマがあったことを知って、 感動しました。多喜二文学の生命力 はすごい、と思いました。
●作品『党生活者』の、主人公と母 が会う場面は、非合法時代に多喜二 が母と会ったのは麻布の喫茶店で、 そのときはお母さんら5人と会った。 小説と事実とは違う。非合法時代の 多喜二のアジトもすべて現在はわかっ ている、など、そのご苦労に頭が下 がります。有難うございました。
●多喜二は当時の、プロレタリア文 学運動の頂点に立っていた。そのた めに時の国家権力のターゲットにさ れ殺された。という講師の話が、心 にずっしりと残りました。
●小林多喜二の文学は「ふかく、 ゆたかに成長していくすばらしい文 学」という講師の最後のまとめに感 銘しました。
●全集刊行のもつ意味を、今日に問 いかけた記念講演、大変感銘深く、 有難うございました。
●多喜二の生きた時代が感じられる 講演でした。多喜二の原稿の保存、 全集の編集・刊行にたずさわった方々 の、生きる姿まで、伝わりとても興 味ぶかい内容の講演でした。
●多喜二の原稿の復元、保存、収集 などについて、まことに興味ぶかい 話でした。先人の、苦労は今にいき ている。すばらしい講演でした。
●多喜二の生涯とその作品の今日的 意義を、若い人々に魅力あるものに するために、多彩な内容にする格段 の努力を期待します。


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